青木:具体的に、小・中学校で何らかの事情で教室に入れ ない子たちのための「心の相談室」がありますが、この現状をどのように認識されているのでしょうか?
教育長:子どもたちの悩みは多 岐に渡っている。また悩みの深さも個々に違うものがあります。そういうことを語れる場所、話を聞いてくれる場所、悩みを聞いてくれる場所、として「心の相談室」があるわけでございまして、非常に大事な場所と認識しています。私の体験ですが、ある小学校で教頭をさして頂いた時にですね、全校の児童に対して学校の授業を通して困っていることや心配になることがあったら書いてくださいとアンケートを取ったことがあります。そこから出てきたことは小学校1年生から「計算がはやくできない」と。
2年生は「テストができるかどうか心配」。3年は「ものづくりで失敗しないか心配」がたくさんのアンケートの中から出てきました。職員全員で、こういう子どもの悩みを受けとめられる感性をお互いに共通認識をした訳ですが。
私は今後の自分自身の課題でもあるが、学級単位でそういう悩みを互いに情報交換しあうような場を持つことが大事ではないかと。自分一人の悩みにしておかず学級の中で話題にしていく。自分だけではなくて、他の友だちも以外と同じような悩みを持っていると気付くと思う。そして悩みに対してどのように克服しているのか情報交換しあう。「ボクはこう努力してる私はこう努力してる」と。そういうことをヒントにして自分の生き方に取り込んでいく。悩みをはき出し情報交換、コミュニケーションの機会が非常に大事であろうと。その上で「心の相談室」「保健室」の職員がそれを踏まえて相談にのればより高まった部分で子どもの悩み等に応えていけるのではないか。子ども同士の関わりの場を持つことがもう一度見直しをしてみなければいけないと感じているところであります。
青木:団体生活を送る上での社会的なルールやマナーは学 校での集団生活通じて学び教えられるべき大事な学習内容。人間としての礼儀やマナー、基本的な生活習慣などは家庭で教え躾られるべき大事な内容だと思いますが。教育長のお考えをお聞きします。
教育長:家庭・学校それぞれがもう一回役割を確認し合う。 家庭で行われるべきしつけ、学校の集団生活の中で行わなければいけないこと。いわゆる人格形成のプロセスがよく言われることでありますが、これは子どもを取り巻く環境、つまり「大人がやってみせ言って聞かせてさせてみせる。そして褒めてやる。」そういうプロセスが基本になっている訳であります。「やってみせる」はまさに環境そのものです。大人がどういう生き方をしているか、その後姿をもって子どもに示していく。言ってきかせるとはやり方を教えるということ。やって見せても見て学ぶということは、具体的にタイミングを押さえてやり方を教える。例えば箒の掃き方、雑巾の絞り方一つでもじっさいに教えてあげる。こうすることで角まできれいに掃ける。またぞうきんはきれいに絞れる。させてみるということは体験ですね。その上で「よくできた」と褒めてやることが身に付くと私自身は認識している。また各学校へもメリハリのついた指導を求めていきたい